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32鍵クラヴィアーのための組曲


1-. "残響"(プロローグ) 2-. "夜長" 3-. "小さなロマンス" 4-. "眠れない夜"
5-. "残響"(エピソード) 6-. "月の光" 7-. "ピアノ" 8-. "残響"(エピローグ)


おおよそ十年前、偶然入手した玩具のピアノの素晴らしい仕上がりに感激し、この楽器のための組曲を描き始めたものの、制作は頓挫しました。"エクリチュール(作曲法)"に出会う前のわたくしにその力は無かったのです。長年楽器もろとも押入れの肥となっていましたが、最近このピアノを再び使い始めたことを機にリトライした次第です。制作の当初は、この32鍵で表出し得る音楽表現について専ら目を向けていたことと思います。しかし、作業を再開する中で蘇るのは、この楽器と出会ったときの感動。作品の主眼は次第に、音楽表現よりむしろ楽器そのものの性質、透明度の高い音色と正確な音程が生み出す「"調和の度合い"のダイナミクス」と、それに伴う「音色のダイナミクス」へ、大きく転換していきました。肩の凝らないイージーリスニングの範疇で、かつ必要最小限のアカデミズムを以って。本作品が(私自身にとってそうであったように)今後のトイピアノ作品鑑賞、演奏、あるいは制作への意欲を駆り立てるきっかけとなりますことを。



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